和名『眼球日誌』。国際補助語エスペラント、文学、芸術、人類、政治、社会などについて
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ユダヤ戦記〈2〉
評価:
フラウィウス ヨセフス
筑摩書房
¥ 1,365
(2002-03)
 これが人間の姿だ。『ユダヤ戦記』第2巻は第1巻に続いてユダヤ戦争の佳境を描いている。ヨセフス自身が指揮したガリラヤ地方の陥落、ヨセフスの投降と捕縛、ウェスパシアノスのローマ皇帝即位、エルサレムの内部抗争、ティトスのエルサレム包囲がこの巻の主な内容だ。
 特にティトスのローマ軍がエルサレムを包囲している時に、エルサレム城内ではゼーロータイ(熱心党)のヨアンネスと野盗のシモンとがお互いに城内を勝手に占拠して争っていた。こんな状況ではローマ軍に勝てるはずがない。しかも包囲戦が行われている城内ではヨアンネスとシモンの仲間が競うようにエルサレム市民を殺害し略奪し陵辱していたのだ。また、シモンによって作者ヨセフスの父親も牢獄に入れられ監禁された。ユダヤ人同士の抗争と暴力に嫌気がさして城内から逃げ出した市民の多くはローマ軍により解放されたが、ある者はローマ軍によって十字架にかけられ、両手を切られた。また投降して食料を与えられた者は焦って一気に食べ過ぎたために胃袋が破裂した。また金貨を飲んでエルサレムから脱出したと疑われた者はローマ軍のアラブ兵やシリア兵に腹を斬り割かれた。
 『ユダヤ戦記』の作者ヨセフスはエルサレム市民に降伏勧告を呼びかけていたが、彼が負傷して死んだという噂が流れると市民は落胆したという。それほどエルサレム市民はこのローマ帝国との戦争に乗り気ではなく、ただゼーロータイや野盗の叛乱に巻き込まれただけなのだ、ということが分かる。ユダヤ教の聖性の維持と独立はユダヤ人の全てが望んでいたことだけれども、戦争までは望んでいなかったのだ。しかし一部のゼーロータイの煽動によって、大祭司や有力者が止めてもかまわずにユダヤ人はローマ帝国との戦争に突入してしまった。そして多くのユダヤ人がローマ軍と、そしてゼーロータイによって殺され、そしてある者はゼーロータイに、ある者は自らの意志で集団自決を迫られたのである。作者ヨセフス自身も自決を迫られた一人だった。これはユダヤ戦争の状況であるが、全ての戦争について言える状況かもしれない。
 包囲がきつくなると、エルサレム城内の飢えは深刻になり、エルサレムにある渓谷は餓死者の屍体で埋めつくされた。渓谷を埋めつくす大量の屍体から流れ出すどろどろとしたものを見て、皇帝ウェスパシアノスの子で攻城側の将であるティトスは天に向かって両手を差し出して、神を証人にし、こう言った。
「これはわたしのしたことではありません」
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